トムソン加工とは?
トムソン型(ビク型・木型)を用いて、
あらゆる素材を打ち抜く(プレス)加工のことです!
業界では「トムソン」という言葉が普通に使われていますが、由来はどこからくるのでしょうか?調べてみると人の名前のようです。アメリカのジョン・S・トムソン氏が設立したトムソン・マシン社が1909年にトムソン型機械を発売しました。その機械でおこなう型抜き加工を「トムソン抜き(加工)」と呼び、そして使用する型を「トムソン型」と呼びます。この呼称は主に西日本地域でよく使われています。
一方、東日本地域では、「ビク抜き(加工)」、「ビク型」と呼ばれています。これは、ドイツのシュナイダー社が開発した活版印刷機を打抜機に改造したビクトリア打抜機が由来と言われています。関東ではビクトリア打抜機を、関西ではトムソン型(ビク型・木型)機械を導入する工場が多かったので、それぞれの呼称が定着したようです。
実際の加工の様子はこちら
トムソン加工
トムソン加工機
この回のまとめ!
つまり、
西日本は「トムソン加工(抜き)」
東日本は「ビク加工(抜き)」
と呼び方が違うだけで、加工方法は同一なんです。
トムソン型(ビク型・木型)とは?
トムソン型(ビク型・木型)とは、ベースであるベニヤ板や樹脂板にレーザーで溝加工を施し、その溝と同じ形状に曲げた鋼の刃物(トムソン刃)を埋め込んだ型です。
最近では、レーザー加工機や自動刃曲げ機をCADにより制御することが可能になり、これまでよりも高精度の型の作成が可能になりました。 また、金型に比べてコストが低く、製作日数も短いため、打ち抜き加工の分野では、試作~量産まで幅広く使用されています。
そのほか、継ぎ目がなく、精度が高いピナクル型(鋼を溶かし、刃物をシャーピングさせた腐食刃による型)など、木型では加工困難な細かな形状や、継ぎ目を嫌う材料や薄い製品については、こちらが適しており、木型との複合型なども製作可能になっております。
トムソン加工の刃の種類(よく使用する刃物)
トムソン刃 | パイプ | フレキシブルピナクルダイ (ピナクル型) |
|
---|---|---|---|
形状 | |||
刃の特長 |
【両刃30°】 【両刃42°】 【二段刃】 【片刃】 【片二段刃】 【MIR刃】 【テフロン刃】 |
【クリヌキ】 【テッポー】 【サイドポンチ】 |
塚谷刃物製作所の腐食刃の商標です。 トムソン型(ビク型・木型)と比較して、 欠点は、トムソン型(ビク型・木型)より |
この回のまとめ!
トムソン型(ビク型・木型)は、
金型よりもコストが低い
製作日数が短い
そして、加工素材に応じたいろいろな刃物が選定できる。加工精度が求められる場合は、ピナクル型での対応も可能!
トムソン加工で「できること」「できないこと」?
はさみやカッターナイフなどで切ることができる比較的軟質な素材の加工に適しております。
フィルムやシート、ゴムパッキンなど工業用部品、電子部品、自動車部品などの打ち抜きに幅広く利用されています。
大量に生産されるものが海外にシフトする中で、多品種小ロットに向いている低コストで短納期の加工に向いています。
硬質の樹脂板(厚み1mm以上)や金属の加工(金属箔なら可)などのはさみで切れない素材の加工は適しておりません。
要相談
アニメのキャラクターなどの複雑な形状のものは、トムソン型(ビク型・木型)の作成が難しいので基本的にはできませんが、対象箇所のデザインなどの修正をご検討いただければ可能性はございます。
お断りしていること
トムソン加工でも紙器関係(パッケージ類など)、ガラス繊維・活性炭繊維・研磨材入り素材など粉や細かいチリ・ホコリがでるような素材の加工はお断りしております。
この回のまとめ!
トムソン加工は
はさみやカッターナイフなどで切ることができる素材なら、なんでも対応可能
日常的に様々な場面で使用されている
低コストで短納期(多品種・小ロットに向いている)
トムソン加工の注意事項とは?
基本的には、1つの製品に1つのトムソン型(ビク型・木型)が必要!
但し、直線的な四角の形状などは、弊社が所有する一本刃にて加工ができるので、型代が不要です。
あと単純な円形などでφ50やφ100など弊社で所有しているものが多数ありますので、お問い合わせください 。
(どちらの場合もロットや材料サイズにより、木型を製作した方が工賃とのトータルでコストが下がる場合もあります)
トムソン加工の工程とは?
設計、トムソン型(ビク型・木型)製作
材料手配
前工程(裁断)
この前後で複数素材の貼り合わせや、両面テープの貼り合わせなども行います。
打ち抜き
後工程(仕上げ・検査・梱包)
トムソン加工のQ&A
- 金型(プレス型)との違い(メリット)は?
-
コストが低く、製作日数も短いため、トムソン型(ビク型・木型)で打ち抜きが可能な素材であれば圧倒的にオススメします。
- 加工できる材質は?
-
はさみやカッターナイフなどで切ることが出来る比較的軟質な素材が対象になります。硬質の樹脂板(厚み1mm以上)や金属の加工(金属箔なら可)などのはさみで切れない素材の加工は適していません。
- 加工可能なサイズは?
-
得意とする範囲は1プレスで500mm(幅)×400mm(流れ)の中に入るサイズになります。テーブル送りの順送機を得意としておりますので、可能な材料シートサイズとしては、600mm(幅)×1100mm(流れ)になります。
- 単発や小ロットの依頼でも可能?
-
可能です。ただ、ロットの大小にかかわらず、どうしてもトムソン型を製作することになりますので、数量が多く、リピートがあるほど、イニシャルコスト(トムソン型の費用)分が安くなります。
エムツープレストなら!
トムソン打ち抜き専門工場だからできる
「軟質素材」×「打ち抜き」
お客様のご要望に全力でお答えします
3台の自動テーブル裁断機を主体とした打ち抜き加工により、小ロット・大ロット問わず、お客様への納期対応には力をいれています。
単純な単発の打ち抜きだけではなく、ハーフカット、順送加工、複数工程抜き(1回目テープを抜いて不要な部分を取り除き、そこにもう一つの素材を貼り合わせた上で、2回目の打ち抜きでピン穴などを頼りに位置決めして打ち抜く)など、手間のかかる加工へ対応できることが強みです。
あらゆる素材の加工に挑戦し続け、
対応可能な素材数は業界トップクラス
トムソン型(ビク型・木型)で打ち抜ける素材と言えば、ハサミやカッターナイフで切れるような比較的軟質のものですが、種類で言えば数限りなく存在します。
同業他社の打ち抜き加工会社では、守備範囲を特定して素材を限定しているところが多いですが、エムツープレストでは、扱える素材は何でも加工しようというスタンスでお客様の要望を聞きながら、あらゆる素材の加工に挑戦し続けています。
他社で加工を断られたお客様がおられましたら、ぜひ一度、弊社までお問い合わせください。
主な材料はこちら
ゴム | 発泡品(スポンジ) | 樹脂 (シート・フィルム) |
両面テープ | その他 |
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クロロプレンゴム(CR) 天然ゴム(NR) エチレンプロピレンゴム(EPDM) ニトリルブタジエンゴム(NBR) フッ素ゴム(FKM) シリコーンゴム(Si) ウレタンゴム(U) ブチルゴム(IIR) スチレンブタジエンゴム(SBR) ハネナイト |
ゴム系発泡品(スポンジ) 樹脂系発泡品(スポンジ) |
低密度ポリエチレン(PE) 高密度ポリエチレン(PE) ポリプロピレン(PP) ポリエチレンテレフタレート(PET) ポリカーボネイト/ポリカ(PC) 硬質ポリ塩化ビニール(PVC) 軟質ポリ塩化ビニール(PVC) テフロン(PTFE) |
日東電工(株) DIC(株) 積水化学工業(株) (株)寺岡製作所 恵比寿化成(株) コニシ(株) |
はさみやカッターナイフで切れる素材ならほぼ加工することが可能です。 不織布、フェルト 硬質リサイクルボード 面ファスナー 金属箔 |
工場見学も受け付けています!
大事な仕事を依頼する会社ですから、設備やそこで働く人、弊社の取り組み(3S活動)などを工場見学にてご自身の目で確認してください。